【自己顕示録】


2001年8月 別添


8/24

/不思議惑星キン=ザ=ザ!/

ロシアの不条理SFの古典。ストーリーを記す。

*オープニング*

見渡す限りの砂漠。ところどころに木の杭が打ちたてられている。規則的なような不規則なような、不思議な情景。−−この広大な自然をバックに、チェロのよく締まった低音がリズムを刻む。スローテンポで図太いリズムを提示しつつ、定期的にマヌケな声(吐息混じり)で「クーー」が入る。

ふと空を見ると、釣鐘型の頼りない飛行物体が。やがて宇宙に出て、うずまき星雲を映し出す。

舞台は一変、ロシア。主人公マシコフが帰宅する。狭苦しいアパートメント、TVから猥雑なレビューshow。妻に言われ、マシコフはスーパーにマカロニを買いに出かける。

スーパーの前で、見知らぬ少年に声を掛けられる。

少年「あの、あそこに自分を宇宙人だと言い張る人が…」
マシ「通報すればいい」
少年「もちろんそうなんですが、どうも衣類もないようで、凍死しかねないんですよ」
マシ「…手伝おう。」

そこには、汚いコートを着たズタボロのオッサンが。

ボロ「おお、すまない。私はXX星から昨日迷い込んでしまったんだ。戻りたいのだが、座標が不明だ。地球のスパイラル番号を教えてくれないか? クロス番号でもいいのだが。」
2人「?」
ボロ「頼むよ。座標さえ分かれば、この装置で一瞬で帰れるんだ」(と、小さなカードを出す)
マシ「協力しよう。押せば戻れるんだろ? そのかわり、押しても何も起こらないなら、おとなしく警察までついてきてくれ」
ボロ「あ、ダメだ、押してはダメ」

ぽちっとな。

すると、マシコフと少年は、見渡す限りの砂漠にいた。前触れも無く。音も無く。

余談:特殊効果を伴わないという意味では、予算的にチープだろう。しかし、移動の前後での立ち居地などはきっちり同じにしてあり、画面に違和感はない。丁寧にきちんと作られた映像だ。)

*ファースト=コンタクト*

少年の名はゲデバン。グルジア人だという。音大生。依頼されて、高価なバイオリンを、高名な先生に運ぶ途中。

ゲデ「ここは、さっきのひとの星なんでしょうか」
マシ「まさか。地球上の砂漠さ。タリマン(うろ覚え)だろう。となると、モスクワはあっちだ。」

歩けど歩けど、景色は変わらない。

そのとき、空から釣鐘型の宇宙船が下りてきた。色は青銅緑。頼りないプロペラがついている。

マシ「資本主義者だ…」

余談:アメリカ映画だと、こういうときに「共産主義者だ」といいます。)

舞い降りた釣鐘のドアが開き、奥から薄汚れた2人の男が出てきた。1人は、入り口の部分で檻を構え、その中に入る。1人は、飾りのボールのようなものを左右に配置する。そして、自分のホッペタをすばやく叩き、両手を左右に広げながら腰を落とし、叫ぶ。「クー!」−−どうやら挨拶のようだ。

ゲデ「これは…どうやら…」
マシ「だな、ここは火星のようだ。ゲデバン、外国語はいくつ喋れる? 思いつく限り挨拶してくれ。」
ゲデ「(ロシア語)(英語)(フランス語)(トルコ語)」

マシコフは、ハッタリの限りを尽くし、ロシア語で主張する。「われわれを近くの町まで連れて行ってくれ。でないと国際問題になるぞ、うんぬん。」(見事なロシア魂!)だが、2人は意に介さず、「クー?」とのみ。ついでマシコフは荷物を差し出し、「これと交換に…」と身振り手振りで交渉。だが、ついに2人は去ってしまう。

マシコフは、ため息をつきながら、マッチをすってタバコに火をつける。−−すると、空のかなたに消えたはずの釣鐘船が、猛スピードで戻ってくる。

2人「カッツェ!」
マシ「マッチを欲しいのか? 乗せてくれるんなら、"クー"だ。」
*ギンザザ星雲*

船内。恐ろしい沈黙が支配する。途中で、痩せて長身のほうの男(痩男)が、鈴のついた鼻ピアス(ツァーク)を差し出す。「着けろ」ということらしい。マシコフとゲデバンは、いやいや着ける。

(船内には、まったくといっていいほど機械機構が見られない。だが、ハンドルなどはあり、丸男がいろいろ操作している。−−《根拠の無い法則》で、世界は一貫して支配されている。見事だ。)

そのあとしばらくすると、小柄で太ったほうの男(丸男)が喋る。

丸男「そうか、妻がマカロニとさえ言わなかったら、よかったのか。」

目を広げて驚く2人。

マシ「ロシア語しゃべれるじゃないか! 騙したな」
痩男「騙したわけじゃない。言語中枢の解析には時間がかかるんだ」

丸男と痩男は、かわるがわる説明をする。

残念ながら、ここは地球ではない。キンザザ星雲にある惑星プリュク。そのカッツェ(マッチ)はこちらでは非常に高価だ。もし100箱用意できるなら、地球に送り返してやる。

ところで、地球のスパイラル番号はいくつだ? クロス番号でもいいんだが。知らない? じゃあ、なんという銀河系にあるんだ。近隣する銀河は? それも知らないとは。なんと未開な世界から来たんだ!

この世界では人間に階級があり、痩男はパッツ、丸男はチャント(名称うろ覚え)。パッツは身分が低いので、チャントの前ではツァーク(鼻ピアス)をしていなければいけない。チャントの上にもいくつか階級があり、その階級はステテコの色で明確に提示される。

丸男は、階級検査機を取り出す。人間に反応し、パッツならばオレンジ色に、チャントならば緑色に光る。マシコフもゲデバンもオレンジのため、パッツだという。

(実際にはもうちょっとあとのシーンだが)

ゲデ「違いは、血ですか? 種族ですか? 持ち金ですか? 全部違うんなら、いったい何で見分けるんですか?」
丸男「お前バカか。オレンジと緑は一目瞭然だろうが。」
*交渉失敗、別れ*

宇宙に出るには、加速器というパーツを買わなければいけない。釣鐘を着陸させ、丸男がとある地表をノックする。と、そこが(マンホールのフタのように)開き、人が出てきた。どうもショップのようだ。

地下に降りて交渉するのだが、マシコフのドジによりマッチのみ持ち逃げされてしまう。その結果を知った痩男は、丸男を強く非難する。−−鼻を下から叩き上げ、「キュー!」と。

あきらめて次のショップへ飛ぶ途中。丸男がゲデバンに怒る。思考を読んだようだ。

「おい、ココにあるものを持って帰ってノーベル賞だと? ふざけるのはよせ。奪ったXXを返せ。」

どうもゲデバンは手癖が悪いようだ。あまりに怒った丸男は、ゲデバンのいるユニットだけ切り離してしまう。あわててマシコフが「引き返せ」と交渉。カッツェで手を打つ。

降りたところで、チャントよりも身分が上の階級とすれ違う。どうやら警察のような仕事をしているらしい。丸男らが強く「クーするんだ!」と要求するが、マシコフは応じない。

警察は、ふところからオモチャのような棒を取り出す。スイッチを入れて動かすと、1km先のコンクリートの壁が音も無く2つに分かれた。あわててマシコフもクーをするが、やはり気に入られなかったようで、ゲンコツで殴られて気絶してしまう。−−この間に、宇宙人2人は飛び去ってしまった。

余談:この「それ、オモチャじゃん!」という情けないものが、説得力のないまま、異様な破壊力を持つ。このことの可笑し味はすさまじい。)

*少女との出会い、明らかになる風習*

目覚めたあと、運良くゲデバンと再会。旅を続ける。

ふと、遠くに車(らしきもの)に乗った少女を見つける。マシコフは大声を張り上げて助けを呼ぶ。すると、まだ1km以上は離れていると思われるのに、耳元にいんいんと少女の声が響いた。どうも拡声装置をつんでいるようだ。

少女「あなたたち、芸はできるの?」
マシ「バイオリンを弾けるぞ!」
ゲデ「マシコフさん、僕はバイオリンを届ける役目であって、弾けません」
少女「そう。じゃあ用は無いわ。」
マシ「まて、実は俺が弾けるんだ。」

マシコフは、でたらめにバイオリンを構え、弦を弓びく。とんでもないキーキー音が響き渡る。歌も歌う。「ママ ママ どうしよう。こんなに寒くて 食べ物もない。」−−少女は感心する。

少女「ファンタスティック! これならOKね」

車(といっても板が1枚あるだけで、運動機構は不明)の上で、少女は再度演奏を求める。

少女「これならお金を稼げそう。パッツがをするときは、この檻の中に入ってするルールだから、気をつけてね。」

少女はゲデバンにも芸を求める。けっこう上手く歌うのだが、それではまったくダメだという。膝ドラムも試みるが、受け入れられない。少女「このひと、まったく役に立たないわね」

そうこうするうち、丘の上に警察クラスが現れる。3人、あわてて檻の中に入り、クー。演奏を請われるが、狭くて演奏できない。警察は無視して去ってしまった。この事態にあきれて、少女は2人を見捨てて去ってしまう。

実際には「ここは坂だから、車が動かないわ。下りて、押してくれない?」といわれて降りたら、さっそうと「じゃあね、役立たずさん」と少女は去っていった。)

暗転。自分たちの荷物に包まりながら、2人はこの星での最初の夜を迎える。

ゲテ「同士よ! 僕は役立たずですか?」
マシ「そんなことはない。いいから、黙って寝よう」

余談:タバーリッシ! :最頻出ロシア単語。たいてい「同士」と翻訳するが、それは共産党支配時代に培われた翻訳表現にすぎない。この単語自体はスターリン以前からあり、「おじさん」「おにいさん」に相当する万能の呼びかけ語だ。)

*インターリュード−−第2章*

舞台は地球。ゲデバンが音楽大学の教授に叱られている。

「こんなに長い間行方をくらましていたと思いきや、今度は夢物語ですか? そんなおかしな鉄くずや鈴を渡して、いったいなんのつもりです。芸術家になるつもりなら、日々の鍛錬が必要です。それなのに、あなたったら、キュー!

夢だ。

余談:夢の中で、「この鉄は、証拠物件としてユニセフに進呈しました」というようなくだりがあり、面白かった。)

と、ここで《第2幕》というタイトルシーンが差し込まれる。

ギンザザ星雲語−ロシア語 翻訳表

(違うタイプの映像効果を差し込むあたり、モンティ=パイソンなイメージ。衣装やポーズも似ていると思う。)

*再会、しかしハレがない*

マシコフとゲデバンの前に、古びた観覧車のようなものが現れた。どうも住民区のようだ。その脇に、見慣れた釣鐘飛行船が。あの2人が芸をしているが、住民にはウケていないもよう。

丸男「またあんたらか! 分かっただろう、俺たちはしがない芸人なんだ。もう邪魔しないでくれよ」
マシ「いや、手伝えると思うぞ」

檻の中に、痩男・マシコフ・ゲデバンの3人が入り、バイオリン、歌、そしてゲデバンの手には拡声変調器(さっきかっぱらった)。「ママ ママ どうしよう。こんなに寒くて 食べ物もない。」怪しい音程と怪しいリズム、そして怪しいタイミングで行われる拡声変調。住民は拍手喝采。丸男(チャントだから表に出られる)が貨幣(四角い金属)を回収して廻る。

話によると、釣鐘船はハレ(燃料)が切れたらしい。買うためには貨幣かカッツェが必要。でも、その前に、給油場まで船を移動させなければいけない。−−そこで、マシコフが技師の腕を生かして、船を改造。土台に滑車をつけ、押して動かせるようにした。

実際には:長らく修理した後、にこやかに「できたぞ!」と叫ぶ。次のシーンでは、ヒキ映像で遠くからの視点になり、船を押している4人が映る。−−この脱力感はなかなかのものだ。)

幾度か演奏を繰り返し、ある程度のお金が溜まった。苦心のすえ給油でき、街に向かう。

実際には:「有人給油場で芸をしてまけてもらおうとしたが、丸男の勘違いで無人給油場だった」というシーンが入る。ここで怒った痩男が「キュー!」とばかりに丸男を殴る。この際、バイオリンで殴ったために、バイオリンが大破してしまう。「もう演奏できない」と落ち込みかけたが、なんと中からマッチが1本でてきた。「なかなかクーな展開じゃないか?」

*PJさま*

(ちょっと順序が入れ違うが)

突然、うなり声が響き渡る。

丸男「PJさまだ。平伏してクーだ。そうしないと終身刑になるぞ。」

ふと気がつくと、目の前に、小さなトッチャンと、平伏する大男が。−−トッチャンは上半身ハダカで、太った腹を丸出し。見るからに頭悪そうで、威厳まったくなし。そこに平伏する男は、イヌのようにうなり声をあげている。−−4人、あわててクー。しばらくすると、前触れも無く姿を消した。

マシ「いまのがPJさま? 映像か?」
丸男「ホログラムだ。忠誠度を監視している。」

余談:このあたりになると、マシコフもゲデバンもすっかり世界に馴染んでいて、ためらうことなくツァーク(鼻鈴)を付け、クーをする。人はどんな世界にも順応できる。)

*地下から街へ*

小さなバラックにたどり着く。この地下には、非常に大きな地下街が形成されている。相乗りの鉄道にのり、移動。途中、いくつかの不思議な箇所を通り抜ける。

余談:丸男が丁寧に《生き延び方》を説明する。「あのかたは赤ステテコ、2階級上だから、クーも2回だ。気をつけろ!」

街の占い婆をたずねる。

地球を探す? その星のスパイラル番号もクロス番号も分からんのか。話にならんな。よし、そこの男、母星を強く念じろ。なんでもいい。…よし、見えた。スパイラル番号015か。なるほど。

電話もできるが、するか?

なんと、電話の向こうには、マシコフの妻が。

妻「あなたなの? いったいどこにいるの?」
マシ「おお。お前。無事だったか。俺は、いまとんでもないところにいるが、じきに帰れる。(涙)息子はどうしてる。そうか。(錯乱に近い)ああ、そうだ、XXに伝えてくれ。事務所の地下倉庫にあるXXをXXXに届けて欲しいんだ。」

ゲデバンも電話を懇願するが、却下される。

「その若造、その前にポケットに入れたXXを出せ。この盗人! 電話など許すものか!」
*思いがけぬ逃亡、思いがけぬ再会*

これで準備万端、あとは加速器を買えばよいだけ…と思いきや、意外なことに宇宙人2人はマシコフらを置いて逃亡してしまう。自分たちだけで地球に行ってマッチを買い占めるつもりか?

マシコフは機転を利かす。

おい、そこの警察、ヤツラを捕まえてくれ。犯罪者だ。ヤツラ、PJさまにクーしなかった。俺は見ていたんだ。おい、行動をとれよ! サボっていると上司に訴えるぞ!

光の速さで警察は行動し、2人を捕まえる。裁判になる。実際にはクーしていたわけで、マシコフも偽証を詫びるが、罪は宇宙人だけに与えられる。終身刑で、解放のためにはXX円必要だ。2人は銀色のチャチなハコに閉じ込められ、連れて行かれる。

マシコフは、こんな展開になるとは予想しておらず、途方にくれる。どちらにせよ地球には帰れないのだ。

夜、焚き火を囲んでボーっとしていると、突然後ろから声がする。

無謀な地球人! こんなところにいたか!

なんと、地球で出会った、あの宇宙人だ。彼は、なんとか転送に成功したらしい。

宇宙人「よかったら、転送機で地球に送り返してやるよ」
マシ「実は、自分のせいで友人が投獄されている助けたい。牢屋の中にテレポートで寄ってくれるか?」
宇宙人「転送はあと3回しかできないんだ」
マシ「牢屋、地球、ここ。3回でOKじゃないか」
宇宙人「それでは、俺の星に帰れない。俺はここの生まれじゃない。どうする? 置いてゆくか、あきらめるか。3つ数える間に決めてくれ。」
マシ「…俺のせいでの投獄だ。」
宇宙人「わかった。さらばだ。」(と、テレポートして消える)

ゲデバン、「どうせ地球に帰れないなら」と、ヤケになって自分の荷物を地上にぶちまける。その中に、卵形のユニットが。マシコフは確かめる。間違いない、前にショップで見た加速器だ。

マシ「これをどこで?」
ゲデ「さきほどのお店で、ちょっと拝借しまして」
マシ「よくやった! これが加速器だ。」
*救出*

2人は演奏を繰り返し、宇宙人2人の保釈金を集めようとする。しかし、桁が大きすぎて、まだ1/5しか集まらない。2人は暴力で警官を襲い、その道具(斬る武器と、ヘッドセット)を略奪するのに成功した。ゲデバンが一式を整備し、マシコフが警官(さるぐつわ+縛り上げ)に道案内をさせる。

(このヘッドセットには、回転するランプが2つ付いている。権威の象徴なのだと思うが、実にマヌケだ。)

いくつかの部屋を通り抜け、牢獄に。宇宙人2人は「もう関わらないでくれ」と消極的だが、加速器があると分かると急に元気に。《警官の棒》で壁を切り、一路釣鐘船へ。

実際には:囚人投獄に使っていた銀のハコを、ゲデバン宇宙船に詰め込もうとするシーンが挟まる。「だって、月の石1つで、あれだけの大騒ぎになったんですよ!」

船は宇宙に飛び立ったが、着陸したのは地球ではなかった。ここは宇宙人2人の故郷らしい。丸男が説明する。

キンザザ星雲と地球のあいだにはアルファ星があり、回避は不可能。実は、このアルファ星に行くと、われわれ(この星の宇宙人)はサボテンに変えられてしまう。その危険を冒してまでカッツエを欲しいとは思わない。あきらめてくれないか。

この星は、XX星の攻撃により、見てのとおり廃墟になってしまった。しかし、俺としては復興させたいし、できると思う。手伝ってくれたら、お前たちのためにここに広大な土地を確保する。

マシコフは悩み、これ以上2人に迷惑はかけられないと決意。この場で死のうと大地に降り立った(酸素が薄いので、しばらくしたら死ぬだろう)。ところが、痩男にせよ丸男にせよ、牢屋から助けてもらった恩は返したい。そこで、アルファ星圏ギリギリで、2人を積んだユニットを切り離すことを提案した。

*アルファ星*

作戦実行。一瞬の衝撃のあと、2人は緑の大地に降り立つ。咲き誇る花々、済んだ空気。ここは地球か?

ふと見ると、空に釣鐘船が。この星の重力に捕まったようだ。気が付くと近くに男がおり、手にした杖のスイッチを押す。すると、地表に穴があき、船を飲み込んでしまう。−−やはり地球ではないようだ。

男と、その配下の女性が、状況を説明する。ここはアルファ星。自然と秩序を愛する星。キンザザ星雲の無秩序を嫌い、その住民が近寄ると、すべて花に変えてしまうという。−−マシコフは2人を人間に戻すよう懇願するが、聞き入れられない。

男「君たちを地球に返すか、あるいは過去に返すか。選択肢は2つだ。過去に帰れば、やりなおすことができる。」
マシ「XX星に戻るということか?」
男「そのとおり。さあ、どうする?」
マシ「…1人を地球に、1人を過去に、というのはできるか?」
ゲデ「1人だけでXX星に行かせるつもりはありませんよ」
マシ「じゃあ、2人とも過去に。頼む。」

暗転。

*やりなおそう!*

次の瞬間、2人はXX星にいた。記憶などはすべて残っている。いまは宇宙人2人が投獄された直後で、もうすぐ最初の宇宙人が逢いに来る。

マシコフは、近くにいた男に言い残す。「誰かが俺を訪ねにきたら、地下の牢屋にいると伝えてくれ。」−−2人は行動を始める。警官を襲い、武器を奪い、いくつかの部屋を抜け、牢屋へ。

実際には:途中で、PJさまの私室に入る。室内にプールがあり、配下の男たちと水浴びをしている。ゲデバンは「うわーーーー!」と奇声をあげて、威嚇する。彼らは、脅えるばかりで何もできない。−−このシーンでのゲデバンのクレイジーぶり、なぜか共感してしまった。人間、疲れるとこういうことをしたくなるものだ。)

丸男「あんたらも 懲りないな」
マシ「これ(加速器)をやる。俺たちは、別途転送機で地球に戻る。これで、お別れだ。」
痩男「ほんとうなのか?」
ゲデ「意外にも、寂しくなりますね」

そこに、最初の宇宙人が。「おお、こんなところにいたのか、無謀な地球人よ!」 丸男、とたんにしんみり感をかなぐり捨て、笑顔で男に取り入ろうとする。

丸男「転送機とは、これは驚きで。いったいどんな仕組みなんです?」
宇宙人「シンプルなもんさ。このボタンを押せば」

暗転。

*エンディング*

舞台は一変、ロシア。主人公マシコフが帰宅する。狭苦しいアパートメント、TVから猥雑なレビューshow。妻に言われ、マシコフはスーパーにマカロニを買いに出かける。−−オープニングとまったく同じフィルムが使われる。

余談:ここでTVが流している歌が、「ママ ママ どうしよう。こんなに寒くて 食べ物もない。」だった。マシコフらが演奏したのとは似ても似つかぬゴージャスなものだが…)

スーパーの前で、見知らぬ少年に声を掛けられる。

少年「すいません、XX駅はどちらですか」
マシ「あっちだ。」

そのとき、道を救急車(かパトカー)が通り過ぎた。車の上には、2つの回転灯。マシコフは、無意識のうちにホッペタを叩き、両手を広げ、腰を落として「クー!」という。−−俺は何故こんなことをしたのだろう?

ふと気づくと、少し離れた場所で、先ほどの少年も同じポーズをしている。−−2人は見詰め合う。

マシ「ゲデバンか?」
ゲテ「同士ですか?」

黙って歩み寄り、2人は抱き合う。

(以上)






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