立ち寄り:11:00〜13:30
アールデコ期のガラス細工を多数所蔵する。エミール ガレ、LCティファニー、ラリック、ドーム兄弟らの大御所定番が山ほど。erkさんのたっての来訪希望地であった。外見も、白い壁と鉄線ラインを生かした清楚な建物で、幾何学的に綺麗に整頓されて、いかにも近代美術館だ。
(余談:バスを降りたあたりではっきり実感した。飛騨高山は日差しが強く、昼は暑い。このころ東京は昼に19度〜23度だが、高山は26度〜29度ある。そのかわり夜は寒い。冬は死ぬほど寒いのだろう。)
平日のためか、非常に空いている。客は3組程度。ほぼ貸切状態だ。
しかも、驚くべきことに、「写真撮影可(フラッシュ不可)」
とのこと。−−そんな情報は聞いていなかったので、備えておいたデジカメSDカード(64MB)がすぐにいっぱいになってしまった。電池も交換したし。嬉しい悲鳴だ。
チケットを買って2F入り口に移動。最初はラリックの噴水像。説明は公式Webにあるので省略。庭園美術館入り口の像に雰囲気が似ているような気がする。天蓋照明が定期的にオレンジ〜緑に変化するので、写真撮りがいがある。
−−ただ、元が野外のものだけに、痛みが激しい気がする。噴水だから、とくに水さらしだものな。
通路に入って目の前に、水色の綺麗な球体が。ラリック作の香水いれの拡大模型(店頭ディスプレイ用)だそうな。これの写真を撮ってよいとは! 歓喜あふれて、その場にいつまでもいて写真何カットでも撮るところだった。
前半はラリックonlyらしい。香水中心にビン多数。有名な[3羽燕]を拝見できて感激。もっとも、庭園美術館で1度見たかもしれない。写真3つ目のものは、オレンジ球の色が全体に影響を与えて、角度ごとに違う琥珀色の展開をして、見目幸福なり([5つの花])。
フロア中ほどにドーム兄弟。白や黒を基調として、シンプルに花や動物が描かれる。ディフォルメの力強さが心地よい。−−が、撮影が非常に難しかった(涙)。まともなのは、順に[(羊歯モチーフ)][黒いアイリス]
ルイス カムフォート ティファニーの花瓶。[ファブリル=グラスの蓋つき壷]:膨らみを張り合わせた形状。表面のモスグリーンが深い。付いているのはトカゲ? [フラワーフォーム]:雅な形状と半透明オレンジの色の織り成す光で至福なり。繊細さでNo.1(私見)。
由水常雄[小菊紋花器 紺烈](1993):大衆食堂の炊飯器並にでかい器。本体は乳白色で、側面にヒビがあり、これを全体として見ると枝っぽくなっている。ヘリが外側に下り曲がっていて、ここのみ着色。花びらが描かれる。写真だと分からないが、現代日本にあう半前衛作品かと。
ヨーゼフ=ホフマン+レッツ=ヴィトヴェのガラス工場の作品がいくつか。[花器]。[ハート型の葉文花器](1911)。[鉢]。[草花文花器](1930)。どれもはっきりした色合いで発色よくて綺麗。とくに3つ目の白のザラザラ感は、ひんやり冷たそうで…−−これでフルーツ盛り合わせ食べられたら幸せだろうな。
エミール=ガレ[花器 コモ湖]:着色。湖畔に、シルエットで孔雀。微妙にジャポネスクがあるあたり、実に彼っぽい。
その他にもいいのがあったはずだが、もう記憶にない。残念すぎる。
大物が揃いすぎ! 興奮して悶絶死したらどうしてくれるんだ>館長
いかにもガレのキノコランプ…と思うと、これは日本人作テーブルランプ。石井浩二(うろおぼえ)作。これは透明赤が美麗。ガレならば不透明の黒赤かな。
LCティファニー [18灯リリーランプ]:ラリックかと思った。あまり明るくならないオレンジの灯。レプリカを寝室に欲しい。もっとも、いまワンルーム住まいだから寝室はないけども。[孔雀文テーブルランプ]。よく見るティファニーのランプと比べ、緑が深くて暗い。軸部分も黒めの真鍮(?)で、どっしり構える感じがたまらぬ。昔に見た[青のトンボ]に比類する名作かと。
ここで前半終了。噴水増に戻り、入り口と同じ場所から外に出て、渡り廊下を通る。途中に毛皮張りの縦長椅子(寝椅子?)があるが、これは作品なので腰掛けてはいけない。残念。
わたりきると、ガレの貝皿など3点程度の小部屋。外光を取り入れた、かなり明るい室内。外に、立派に枝打ちした赤松が見える。松は一般にこんなに高くまっすぐ生えるものではないので、苦労がしのばれる。
続いて、作家別に、部屋として飾るテーマコーナーへ。アールデコは家具など実用品が多いので、ケース入りだけだと真価を見逃すだろうから、これは素晴らしい試み。[マジョレルの部屋][ガレの部屋][マッキントッシュの部屋][ウィーン派の部屋]と続く。
趣味とデータ容量の都合で、マジョレルは略。ミュシャの油絵(非ポスター)があったのが珍しいが、わたしミュシャ好きじゃないし。
なんと素敵なジャポネスク! タンスや机の表面に、木の張り合わせ(寄木)で花鳥風月を描く。素敵すぎる。江戸時代(?)の和製美術品の流出は、けして無為ではなかった(と思う)。
オウムのランプはL.シャベル製。
(余談:ここで電池が切れ、入れ替え。)
見事な直線。見事な円。部屋としての整合感は、ここが一番かもしれない。ランプの紫、書斎椅子の金属感がたまらぬ。この椅子には、いかにもマッキントッシュな矩形切り抜きがある。
ただの美術館みやげだけでなく、工芸品がいっぱい。食器・アクセサリー。マッキントッシュの家具・時計・ライター。トンボ玉・ガラス細工の人形・お花。クリスタルガラス演奏による最新Hit曲CD(はじめちとせ・スピッツ・ELT・MISIAなどで笑った)。などなど。
値ごろかつ美麗なのは、ガラスのフラワーアレンジメントだと思う。花の名は知らないのだが、流線の綺麗なものから、葉色の綺麗なものから、いろいろ。1点300円〜700円。ただし、店頭で綺麗なのは3つ4つと絡ませているため。1つだと、ちと寂しい。これは実際の花と同じか。大小おりまぜて3000円出せば、かなり美麗な一角を演出できるだろ。−−ただ、持ち帰る途中で割りそうな気もするが。
実際に買ったのは、絵葉書(本家マッキントッシュカフェのメニュー)と透明とんぼ玉。桜があしらわれており、角度によってピンクが踊る。しめて2000円なり。ちと高い。
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