【自己顕示録】


2001年8月後半


8/26

/雑記:ダイエット、*歴史の証人/

*Galactica Proxy*

Galactica Proxy (ABA Games)

すごい。キレイ。面白い。そして、役に立たない! やっぱabaさん好きだなあ。

*ダイエット*

ダイエットとは本来は「食事療法」のこと。 やせることではない。 けして断食ではなくて、必要な食品を食べ、 避けるべき食品を食べないことを指す。 アトピー治療にはダイエットがつきものだ。 −−かくも言葉は乱れたものか。

*笑い声一考*

唐突だが。

あはは。いひひ。うふふ。えへへ。おほほ。

母音が統一されていると、印象がやわらかい。
ははひひふふへへほほ
あははあひひあふふあへへあほほ
いははいひひいふふいへへいほほ
うははうひひうふふうへへうほほ
えははえひひえふふえへへえほほ
おははおひひおふふおへへおほほ

汎用性があるのは「う」かな。

*歴史の証人*

「世界で最も有名なコーヒーメーカー」売られる(CNN)

おー、懐かしい。そうか、撤去かア。


8/24

/不思議惑星キン=ザ=ザ!/

ロシアの不条理SFの古典。中学生のころからキンザザとポチョムキンの名は知っていたが、機会がなく見たことはなかった。

一言で評価するなら、《異世界での冒険》(観光モード付き)だ。物語の深さと律儀さに感心。−−劇団健康[ウチハソバヤジャナイ]やモンティ=パイソン[ホーリーグレイル]で涙したものとしては、ど真ん中ストレートだった。

覚えている限りのストーリーを別途書き留めます。

不条理だチープだとの前評判を聞いていたが、とんでもないことだ。低音の締まったリズミカルな音楽、練りこまれたストーリー、的確な演技。褒める点はあれども、けなす点はほとんど無い。

−−あえていえば、2時間15分は長すぎると思う。30分くらいなら圧縮できただろうに。

実は、オープニングの砂漠のシーンで、すでに感心した。見渡す限りの砂漠の上に、hipgnosysばりのオブジェが整然と並べられている。美しい。−−ただ広いというだけで、十分に脅威だ。私の主義では「artは人工じゃなきゃいけない」んだけど(自己矛盾)。でも、日本人にとっては、あれは非日常だからなー。


8/23

/大原まり子[戦争を演じた神々たち]/

ハヤカワ文庫JA632(2000年)。1993年〜1995年の作品を中心とした短編集。

*全体*

最初の2話(章[神々])の段階で、非常に感動した。単体の美しさと、バックエンドの共有(キネコキスとクデラの戦争)という味付けで、大満足したのだ。

その結果、同じ背景による短編連作の長編だと思い込んだ。それがいけなかった。実際には、一部の作品がその味付けを使うだけに過ぎなかった。−−かなりガッカリ。

とはいえ、単体として魅力のある作品が多数含まれている。単語の選び方や、物語のプロットには、感心できるものが多い。読んで損はしない本だ。

(ただ、文体として、《1文ごとに1段落》というスタイルを採用している(例外は1部のみ)。私はこの文体が大嫌いだ。段落が果たすべき役割(論理のまとまりの表現)を放棄しては、話にならないではないか。−−最近この文体の作家が多い気がする。)

*章[神々]*

2つの物語の双方が、非常に傑作だと思う。

天使が舞い降りても

第1話目にして、これが一番強い物語だと思う。冒頭でアーウームーという謎の客が唐突に現れたと思いきや、その客に会いに行った船長は、不条理な会話とともに、あっというまに異世界に巻き込まれる。

アーウームーの放つ途切れ途切れの言葉が、それぞれ異様にカッコイイ。これを読んだ段階で、ストーリーに一気にのめり込んだ。

私は行為に対する反作用なのだよ
私は時の分かれ目というものを知らない

中ほどで明らかにされるのだが、アーウームーはクリエイター(創造主)の一族のなれの果てであった。自らいうとおり、彼は《行為に対する反作用》であり、エコーでしかない。美から醜を、勤勉から怠惰を生む。その彼が、キネコキスとクデラの戦争での破壊にぶつかったとき、驚異的な創造をもたらした。

私には生と死の区別がつかない。私には男と女の区別がつかない。おまえのために、ふたりの人間をこねあわせてやろう。

船長の妻(愛しきれぬままに死んだ)と、パーサー(現在の恋人だが、同性愛だ)。この2人が合致し、矛盾なきアニマが誕生する。

−−物語は、このようにして美しく閉じる。なんと圧倒的な言葉の連なりであることか!

[カミの渡る星]

続く[カミの渡る星]もグーだ。数ページ分 盲目の子供と主人公らの話が進んだ後、ようやく主人公について描かれる。

M/Cニューロ ネット チップ7000。それが私の正式名称だ。

−−SF魂萌え!

物語は、情報化された個性と生死、およびそれを守る精霊(トーテム)を軸に進む。トーテムらカタカナの単語のもつイメージの力が現実に影響を与え、惑星はクデラの攻撃から逃れることに成功した。−−この《言葉の織り成すパワー》に感心。

ストーリーが終わったあと、面白い仕掛けがある。注がつけられており、次の点が示されるのだ。

*章[女たち]*

この章は、主人公の女の障害を描く。例の戦争には数行言及する程度で、深くは絡まない。

宇宙で最高の美をめぐって

主人公は、某老人が作り出した人工の娘。この娘が「最高の美」で、それをめぐって幾人もが人生を狂わした話。−−だが、どう美しいのかは一切記述されない。

文章は、この娘がインタビューに応じて語った形態になっている。知性の少なそうな語り口と、例の「1文1段落」によって、読んでいて非常に不快だ。この作品は好きじゃない。

楽園の想いで

2面構成になっている。1つは、調査員が《野の娼婦》に感心しながら会話を交わすシーン。2つは、《野の娼婦》が王女だった時代の述懐。−−ストレートな物語だから、詳細は記さない。政略結婚、政略追放、支持者たち。

どちらの物語も大変美しい。本書のBestの1つだと思う。

(余談:この物語では、例の戦争についてまったく言及されない。しかし、後のストーリーと照らし合わせると、この調査員はクデラの先行隊なのだろう。)

ラヴ=チャイルド(チェリーとタイガー)

軽いパラレルワールド記述になっている。

兄タイガーは借金だらけ。妹チェリーは兄を疎んじている。兄はついに借金返済のために人間を捨て《惑星環境装置》として自分を売った。ところが、その惑星は例の戦争によって焼き尽くされてしまう。

妹チェリーが後日にその惑星を訪れると、一部のみ森が残っていた。そこは兄タイガーが維持した空間で、妹を閉じ込め、兄の考えるエデンのなかで強制的に妹を飼う。それを妹の幸福だと信じて。

妹と母が後日にその惑星を訪れると、森の中に石碑があり、その中に兄のつづった物語が記されていた。妹を守るエデンの物語。

「閉じ込められる」自体はありふれたテーマだし、記述もノーマルだ。でも楽しめる。

女と犬

その女と犬は、時代を行き来しながら、被殺害と生を繰り返す。−−存在設定を説明されないまま、物語は進む。これがけっこう快感。−−最後に、女と犬が惑星を離れると、その惑星は生命を失ってしまう。まるで主人公を失った舞台が幕を閉じるように。

(この物語では、例の戦争とは無関係に続く。が、最後に書かれた作品がこれを引用することによって、無理やり閉じる。実はそれが気に入らなかったりする。)

*章[世界]*

この章では、異世界の生命系を描く。1つのみ、例の戦争と深く絡む。

けだもの伯爵の物語

謎の棺桶が発見される。その棺桶に閉じ込められた人間は、そのひとの本性の姿に変身してしまう。−−というおはなし。

つまらないことはないが、個人的には いまいち。どうでもいいことだが、星新一がこのタイトルで書いたら、大傑作になったような気がする。

異世界Dの家族の肖像

これも2部構成。不思議な生命系を持つDの描画と、それを観察する調査員(地球人という設定)。

Dの生態系は人工のもので、3週間でサイクルするようになっている。−−男としての野生、母殺し、その失敗による自己の死、女としての再生、男による庇護、出産、息子殺し、老成、石化。−−調査員いわく「神話」の生態系。読んでいると不思議な破壊感に快感を覚える。

この物語のうまいところは、サイクルが閉じていない点だろう。−−最後には、この調査員(女)はDの生態系に取り込まれてしまうのだ。

世界でいちばん美しい男

作品を短編集にまとめる際に、この物語が書き下ろされた。そのため、全体の物語をつなぐような役割になっている。

まず、ある惑星での生命(恐竜っぽい?)の日常が描かれる。その惑星に、クデラの先行調査員が墜落し、そこで不思議な夢を見る。恐竜は宇宙船を見つけ、調査員と出会う。調査員は翻訳機によって恐竜とコミュニケートを取る。やがて好意が芽生える。−−最後に、例の《女と犬》に出会い、時間が逆行する。

[D]と異なり、描かれるのは異進化を想定した世界だ。その方面では、アシモフ[神々自身]がNo.1だと感じており、比べると本作はいまひとつ。だが、“同じ世界を人間が見つめ、翻訳機を通してコミュニケートする”という側面はアシモフにはないもので、楽しめる。

物語としては、恐竜のもつ世界の分類における“美しいもの”と、人間と恐竜のあいだに芽生える愛情が印象的だ。−−これも本書のBestに数えてよい。

(余談:タイトルはPrinceから取られたそうだ。すごく最近の物語なんだな…)

*章[戦争]*

クデラおよびキネコキス双方における“戦争の起源”が描かれる。どちらも多分に “取ってつけた”印象を受ける…クデラのほうの物語は好きなんだが。でも、無くてもいいなあ。

戦争の起源

完全に満ちた世界クデラ。なにもかもが自由に創造し与えられる世界。

ここに、1人のさえない地球人がさまよいこむ。クリエイティビティを持たない彼は、かわりに偶像崇拝と消費をもたらす。参拝はエスカレートし、ついには世の中のすべてを奪い取って捧げようとする一派を生み出す。

−−これが戦争の起源だ。

シルフィーダ=ジュリア

お話は嫌いじゃないが、でもキネコキス軍の起源としては納得できないなあ。また、タイトルの人物が主人公じゃないのも、あまり趣味じゃない。言葉は綺麗なんだけど>シルフィード乗り

グデラ軍は、キネコキスの大地を破壊しながら捜索する。探すのは宝玉。どこにあるのかも、どんなかたちなのかも、誰も知らない。

耐え切れぬ住民らは、神を呼びおろすことを決定する。呼応して、不具の娘ホーヨーは、その神と一体化する。大地に恵みの雨と怒りの雷光を降らせたのち、無限の軍隊がクデラに向けて繰り出される。途切れることなく…

巫女ホーヨーのくだりは、柳田國男の研究みたいで楽しい。


(余談)

大原まり子オフィシャルWeb。オフィシャルというよりは、個人Webというべき手作り感。こういうのって、最近見ないなー。懐かしい感じ。



8/17

/ぼくらと遊ぼう/パットとマット/

事実上はチェコアニメ祭2001@中野武蔵野ホール。プログラムCの最終日、13:20の回を見た。

トルンカ作品は、あいかわらず私にはピンとこない。

*パットとマット[クロスワード=パズル]*

セリフなし音楽のみのクレイアニメーション。チェコ際99のAおよびCにて、私は惚れた。ほのぼの感と破壊感の類まれなき融合。

(−−どうもDVD/ビデオが出るみたい。)

今作は、いままでみた中でBestにあげられる。

パットは一心不乱にクロスワード=パズルを解いている。と、目覚し時計がなる。洗濯が終わった合図だ。パットはしぶしぶアイロンかけの準備にかかる。が、アイロン=テコが温まるまで、クロスワード=パズルを解くことにした。

この際に、アイロンを(立てずに)机に置いてしまったから、さあ大変。見る見る間に机は焦げ、穴が開いてアイロンは床に落ちる。床もこげ、ついには下階に…でもパットは気づかない。複数の辞書と取っ組み合いながら、パズルに夢中。

1Fでは、マットが同じようにパズルを解いていた。参考にする地図を取ろうとしたら、上からアイロンが降ってきた。あちい! パットは怒ってアイロンを窓の外に投げ捨てる(窓は割れる!)。

マットは2Fに怒鳴り込む。パットはようやく事態に気づき、「スマン」とジェスチャー。

2人は、洗濯物の処理を始める。台所から生地を伸ばすためのローラー棒を用意し、机の上でハンカチを転がしてみる。上手くいかない。ローラー2本で挟むようにしてみるが、それでもダメ。だが、2人はひらめいた。木片を集め、クギを打ち、ローラー2本を使って《パスタ延ばしマシーン》のようなものを自作した。試したところ、見事にハンカチのシワが取れた。

(余談:アイロンをなんとかするのではなく、また壊れた床をなんとかするのでもなく、「洗濯物」をなんとかするあたり、素晴らしい!)

2人はその脇に机を持ってきて、それぞれにクロスワード=パズルを解きながら、片手間に洗濯物を処理し始めた。マットが衣類を差し込み、パットがマシーンのハンドルを回す。だが、パズルに集中するあまり、これすら面倒くさくなった。

2人は意思と行動の人だった。今度は、水蒸気機構で動くピストン運動のクランプによって、《自動的に洗濯物を摘み上げるマシーン》《ハンドルを回すマシーン》を作り上げた。金魚蜂に水をいれ、それを赤外線ランプで温めて、水蒸気を得る。−−おお、見事に動くではないか。2人は満足してガッツポーズ。パズルに集中する。

マシーンは順調に洗濯物のシワを取る。洗濯物がなくなってしまっても、動作は止まらない。《摘み上げるマシーン》の手はむなしく宙をかくうちに、近くにあったイスを掴む。当然ローラーは詰まってしまい、まわそうとするハンドルに逆負荷がかかる。クランプをまわそうとする水蒸気は行き場を失い、ついに金魚蜂が爆発する!

パットとマットを含む室内のさまざまなものが吹き飛ぶ。クロスワードの解答用紙も破れて飛んでいってしまう。2人はあわてて用紙を探すと、半分ずつ壁に張り付いていることに気が付いた。

(余談:互いの無事を心配するでもなく、壊れた室内を心配するでもなく、クロスワードの行方を探す。素晴らしい!)

この半分だが、パットは右半分だけを解いており、マットは左半分だけを解いていた。破れた2つを組み合わせると、なんとすべてが解けているではないか! −−2人は見つめあい、ガッツポーズを取る。(終了)

すごいオチ! 自分で解かなくて満足なのか?」というズレた突っ込みを入れたくてしょうがない。

−−途中までタイトルは[アイロン]ではないのかと疑問に思っていたが、まさしく今回は[クロスワード=パズル]だったわけだ。

*パットとマット[リンゴ]*
庭でリンゴを収穫したが、どうしても1つだけ取れない。この1つを取るために、それまで収穫したリンゴをすべてダメにしてでも取る!

−−破壊しまくったあとに来るオチが「ようやく最後のリンゴが取れた!」だけだったため、いまひとつ。もう一ひねり欲しい。

*パットとマット[雨]*

キャンプ場。料理をしようと思ったら、雨が。あわててコテージに入るが、ここも雨漏りが。

ふと気づくと、屋根は板がズレまくっていて、雨漏りだらけ。なんとか直そうと努力し、ありとあらゆるガラクタを使って屋根にフタをした。ガッツポーズ!

ところが、ドアを開けて中に入ると、その衝撃で屋根がすべて落ち、壁まで潰れてしまった。

破壊に次ぐ破壊のシチュエーション。ストレートすぎるため、まあまあかな。

*パットとマット[テレビ]*

パットはTVでサッカー観戦をしていた。が、TVか電波の調子が悪く、途中で途切れてしまう。パットは床をたたいてモールス信号を出す。1FにいるマットにS.O.S.!

マットは頑張ってアンテナの角度を直したり、適当な金属を付け加えたりと、あの手この手を労したが、どれも30秒と持たない。最後にTVを叩くと、かなり映像が良くなった。が、パットが叩きすぎたために、TV自体が壊れてしまう。

落胆して泣くパットを見ながら、マットはTVの裏ブタを外し、真空管やコンデンサーをいじくりだす。パットはオロオロして見守る。−−そのとき、急にクリアーな実況中継が聞こえてきた!

…そこには、ラジオがあった。中身を取り外されたTVセットの中では、マットが操る人形がサッカーをしている。パットは大喜びして、食い入るように観戦。ゴールだ!

何度も何度もアンテナを直すことの快感と、オチの虚脱感、さらにそれに対して喜ぶパットの表情が素晴らしい。

*ぼくらと遊ぼう*

小熊が主人公のクレイアニメ。

主人公たちは、自分の形態を自在に変えられることになっている。帽子や服をカバンや楽器に変化させたり、自分自身が飛行機に変身したり。−−物語は、変身に変身を繰り返しながら、猛スピードで進む。

翻訳字幕が丁寧語(というか古い文学なノリ)だった。もとの声優も、低音で活舌良く区切るように喋っていたので、そういう雰囲気なのかも。

「いや、そうではござらん!」

「おや、この楽器は、ひとりでに演奏しているよ。」

「あやしいぞ! 証拠はないではないか」

物語の展開(や変身)の有無を言わさぬスピード感、シチュエーションに対する説明のなさ、セリフと画面のすぐわなさ、これら全体があいまって不条理なホンワカを醸し出す。

期待していなかった分、楽しめた。

/歴史証言:IBM/

すべては「IBMのマニュアル」から始まった――PC業界の20周年(ZdNet)

アラン=ケイ先生は、ほんとうにTablet PCに感心しているのか? だとしたら、今度こそ本物なのだろうか…>MS


8/14

/チェブラーシカ/

ロシアの人形アニメ、169年〜74年作品。監督はロマン=カチャーノフ。古典であるらしい。公式Webは品の悪いFlashだったので、@niftyシネマトピックスの記事を紹介する。

(余談:テルミンを観に恵比寿ガーデンシネマに行った。3:05着で、「3:10の回は満席です」といわれた。信じられない! というわけで予定変更して渋谷に。)

16:10の回を観る。店員100名のところ、80人くらい。前回を観て出てきた客が非常に興奮しながらグッズをあさっている。期待大。

*印象*

チャブラーシカが予想以上にかわいい! 小動物かつ子供というキャラクターをふんだんに活かして、愛らしいキャラクターに仕上がっている。−−チョコマカとトコトコと動き、キョロキョロを周りを見渡し、(小さいから必然的に)上目遣いで相手を見て、舌足らずに高い声で喋る。

余談:イメージでは、モンチッチがチェブにそっくりだと思ったのだが、調べたらぜんぜん似てなかった。)

−−キャラクターを観て声を聞くだけで、1500円の価値は十分支払われたと思う。

アニメーションの質は、正直チープなものを予想していたのだが、実際には非常にナチュラルに滑らかに動いている。比較すると、[ウォレスとグルミット](アードマン)は、ナチュラルよりもスピード感を重視している印象を受ける。[nightmare befor christmas](tim burtion)は、あえて人形が動いている印象を作り出している気がする。[チェラブーシカ]は、ヌイグルミなのに生き物感たっぷりだ。

余談:ひょっとすると、コマ数が日本のTVのコマ数なのかも。アメリカ映画はコマ数が多いので、私には逆に不自然に見えることがある。)

ストーリーは、とりたててどうということはない。

余談:私はカタカナの順序を覚えるのが苦手で、ほぼ確実に倒置してしまう。チェラブーシカ?)

*1話:こんにちはチェブラーシカ*

果物屋のオヤジがオレンジの箱を開けると、なかに不思議なドウブツが入っていた。動物園で調べてもらったが、どうも「前代未聞の」新生物らしい。

ワニのゲーナは、自分の人生を振り返り、友達を欲しいと思い、張り紙を出して募集した。少女とイヌ、そしてチェブラーシカが友達になってくれた。

だが、友達のいない人はもっとたくさんいる。寂しいのはイヤだ! チェブラーシカは、みなで《友達に会える家》を作ろうと提案する。造るあいだに、ライオン、キリン、ネコ、オジサンが手伝ってくれるようになる。

完成した暁には、すでにみなが友達になっていた。家の役割は、もう済んでしまった。だから、この家は幼稚園に寄付することにした。

登場第一声から、チェブラーシカはカワイイ。

店員「き、君は誰? 君はなに?」
チェブ「僕もよくわからないの」

(余談:店員もオチャメでグーだ。−−箱の中に小猿を見つけたあと、送付状の「かんきつ類」という文字をしげしてと眺めてから、「コレはかんきつ類じゃないな」という表情でチェブラーシカを眺める。)

自分に友達がいないと気づいたときのゲーナの哀愁が素晴らしい。また、友達を受け入れる態度、チェブラーシカら子供をいたわる姿勢、とてもステキなキャラクターだ。

見所は、家を作るときのキャラの動きかな。

実は、ストーリーはけっこう唐突だ。@niftyの記事の紹介を読んでいなければ、チェラブーシカがオレンジ好きなのかどうか分からないし、ゲーナが50歳かどうかも分からない。−−だがまあ、カワイイから許す。

*第2話:ピオネールに入りたい*

チェブラーシカは、町のピオネール(ボーイスカウト集団)にあこがれる。入れて欲しいのだが、子供すぎて取り合ってもらえない。ゲーナは、チェブラーシカに行進のしかたやノコギリの扱い方を教えるが、なかなか上手くいかない。

ふと気が付くと、町には遊び場が無くて困っている子供たちがいた。ゲーナは、この子供たちとチェブラーシカの遊び場を作るため、1人で木材や粉砕機で工事を始める。

(実は道具を盗んできたため、途中で警官がとがめにきた。しかし、造られたものを観て納得し、道具だけ返すようにしてその場をまとめた。)

そうこうするうちに、ピオネールが鉄くず廃品回収を行っていた。ゲーナは、海のそこから鉄くずを拾い集め、チェブラーシカとともに渡しに行った。お礼に、チェブラーシカを名誉会員にしてくれた。

実は、オープニングが素晴らしい。

家の前で、ゲーナはひとりでアコーディオンを弾いて歌っている。「誕生日だから、皆が祝ってくれるだろう」という内容。非常に切ない旋律。

そこにトラックがやってくる。「あなたがゲーナさん?」「いかにも」。プレゼントが届けられた。箱を開けると、中にはチェブラーシカが。

「誕生日おめでとう!」

プレゼントとして、おもちゃのヘリコプターを持ってきた。というか、どうも自分が遊びたいようだ。ゲーナが紐でプロペラを回してやると、なんと身軽なチェブラーシカごとヘリコプターは空を飛んでいってしまった!

−−落ちた先にピオネールがいて、本編が始まる。

*第3話:チェブラーシカと怪盗おばあさん*

ゲーナとチェブラーシカは、電車でモスクワに海水浴に行くことにした。ところが、いじわるなおばあさんシャパクリャクによって、車中で荷物を盗まれてしまう。切符の無い2人は、車掌に下ろされてしまう。

トボトボと歩いて帰る2人。途中で、ヘドロに汚れた子供に出会う。どうも川が工場に汚染されているらしい。ゲーナは工場長に話をつけ、排水を再検討してもらう。最終的には実力行使してしまう。

さらに帰ろうとする道すがら、旅行者がしかけた狩猟罠にかかってしまう。それを観たシャパクリャクは激怒する。実は彼女はチェブラーシカの大ファンでもあるのだ。罠の主である旅行者を捕まえ、こらしめる。

けっきょくシャパクリャクとゲーナとチェブラーシカの3人は、なかよく無賃乗車して旅を勧めることにした。電車の屋根に隠れて座り、歌を歌いながら旅は進む。

(パンフには「社会批判性もあるアニメ」とあるが、まさかこの中間を指して言っているのだろうか…)

トボトボの帰るシーンが素晴らしい。ゲーナは、2人分の荷物を1人で持つため、少し歩いてはバテて休憩が必要だ。それを見て、チェブラーシカは心配する。

チェブ「ねえ、荷物って、とっても重い?」
ゲーナ「チェブラーシカにうまく伝えられるか分からんが、実はとっても重いよ」
チェブ「じゃあ、荷物は僕が持ってあげる! そのかわり、ゲーナは僕を持って!
ゲーナ「…そうだな、それは名案だ。」

チェブラーシカは、荷物のうち最も小さいケース(ケーキの箱)を持つ。そのチェブを、ゲーナはなにも言わずに抱える。トランクや浮き輪などの残りの荷物は、そっとその場に置きっぱなしにする。−−あくまでもチェブラーシカに心配させないことを優先する。やりすぎなくらい。それがまた愛らしい。


(余談)

予告編によると、[キン=ザ=ザ]をレイトショーとして連日公開している@渋谷ユーロスペース。せっかくだから、観ねば。…[戦艦ポチョムキン]もやらないかなあ。

さらに、武蔵野シネマにて、他のアニメと同時上映でPAT&MATをやっているようだ。観ねば…


/groooove line/

*ピストンを見るぞ!*

終了後、TowerRecordにてBach物色。1時間悩み、けっきょくクイケン兄弟のディスクなど3枚6000円購入。

19:00ごろ、HMVに移動。j-waveの番組groove lineはこの「HMV2階特設スタジオから」生放送なので、一度観ておきたかった。

特設スタジオというので、なんとなくオープンスタジオを想像していた。が。毎日オンエアーしてるんだから、そんなわけないよな。角に据付の防音ブースです。3畳*2くらいのスペース? 小さい。そのなかで、秀島文香が下を見ながら(原稿を読みながら)喋っている。奥では、スタッフとピストン西沢が、スケジュールかチャートかなにかの紙を手に話し合っている。−−うわさどおり、太いね>ピストン。巨デブではないが、丸い!

ブース手前は書籍・雑誌コーナーになっている。15人くらいが群がってブースを眺めていたかな。ふと気づくと、ピストンはターンテーブルに人形(殿様?)を乗せてまわしていた。ガラスに張り付いている子供がいるので、それを笑わすor泣かそうとしていたようだ。お客一同けっこう笑い。

コーナー[people's choise]になる。客が買ったCDを持ち込んで流すコーナーだ。外にスタッフがいて、客にマイクを向ける。ピストンらはブースの中からガラス越しに話す。−−放送を聞いていると中に客がいるみたいだったけど、違った。

−−そのあたりで場を離れる。

*でんぐる*

書籍コーナーで、電気グルーヴの本を発見。Rockin'On連載をまとめたもの(死神文庫? ピンク牧場?)。カバーが、上質紙コートではなくて、お店で付ける様な安っぽい紙のカバーにしてあった。面白いが、版元としては悲しい。あれは、立ち読みされるとすぐに破れるぞ…

本の内容は、非常にくだらなくて最低で鬼畜で、肩を震わせて笑ってしまった。そうか、卓球の肛門にできたオデキのデジカメ写真を、篠原ともえは見てしまったのか…

そういえば、電気グルーヴ[last supper]の5曲目B.B.Eを非常に気に入っている。声にヘンなフィルターをかけつつ、アグレッシブなガナリによる猛烈早口ラップ。トラックも鋭角的でカッコイイ。−−でも、他の曲は別にいらないんだよなあ。

アルバムの宣伝ポスターも面白い。フィンガー5などの有名ジャケットを使って、メンバーの顔だけ卓球と滝に差し替えている。見事な合成!






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