今朝j-waveで、カビラの帯のinternet voteにて、「習いたい楽器No.1は?」というのをやっていて、8時ごろのtopが琴だった。それを受けてカビラ曰く。
うーん。これは組織票か? j-waveリスナーの比率で考えたら、ピアノやギターよりも大正琴を習いたいヒトが多いとは、正直思えません(大意)
揚げ足取りだが、大正琴は厳密には琴ではない。google検索でいろいろ分かるので説明はしないが、大正琴を琴と呼ぶのは、鍵盤ハーモニカをハーモニカと呼ぶのと同じくらい間違いだ。奏法がぜんぜん違う。
(余談:名古屋発祥だとは知らなんだ。さすが異形の地>わが故郷。)
今朝j-waveで、onion songの新版がかかった。マーヴィンとタミーのボーカルはそのままに、シンセベースとエレドラとオルガンを中心に、今のR&Bっぽいアレンジで。だれがremixしたんだろう。また、よく許可出たよなあ…
…と感心して聞いていたら、「玉葱のハッピーソング 椎名順平+椎名林檎」とカビラが言った。うわー、カバーかよ。そっくりだ。完コピだ。フェイク部分やアドリブ部分まで同じやん。
正直なところ、完コピちうのはアーティストとしてセンスを疑いたいが、相手がここまでbigで、それをここまで似せられるならば、ネタとしてはgoodかも。ボニーピンクの[赤いスイートピー]もしかり。
(5月13日 22:30)
11日にこういう広告メールが来た。
Subject: !広告! King Crimson 初期メンバーによる東京公演決定
TOPです。
King Crimson 初期メンバーによる東京公演のお知らせです。
King Crimsonのアルバム "In the Court of the Crimson King"(ITCOTCK) 及び"In the Wake of Poseidon"(ITWOP) に参加したオリジナルメンバーを 中心に結成された 21st Century Schizoid Band による東京公演が決定 しました。公演ではKing Crimson、McDonald & Giles、及びメンバーのソロ 作品を演奏する予定となっています。
私は初めて「ちゃんと自分宛の広告だ!」
と感じた^-^
でも、受け取った人の中には、書いてあることの意味がわからない人もいるだろうな。よほど慎重に名簿作らないと。
…こう作ったのかな?
(余談:このあとは、ビンテージギターのDMが来た。)
(5月19日 14:00)
ラジオでkick the come crue[サヨナラ]が。オケもラップも辛いが、ライムを聞くと日本語でも頑張れるんだなーと感心。といっても他の日本語ラッパーをマジメに聞いたことがないので評価はできない。
英語の歌詞は、ポップだろうが詩歌だろうがポエムだろうが、原則は末尾韻(ライム)を踏まなきゃいけない。中国の五言絶句とかでも韻がある。日本の詩歌である俳句は、音数制限と季語制限があるが、音形の遊びは(規則としては)ない。−−掛詞(かけことば)の遊びはある。
でも日本のポップ音楽の歌詞は、完全自由。無制限。だけど、制限ないところには形式美が出来ないから、扱うほうとしては辛くなる。自由な不自由。
YMO [nice age] は演奏も歌もアグレシッブかつポップで好きだが、とくに途中のナレーションが非常にシュールでお気に入り。
22番は今日で1週間経ってしまったんですけど、でももうそこにはいなくなって、彼は花のように姿を変える。He is coming up like a flower.
このネタが時事ネタだったことを最近ようやく知った。これはポールマッカートニー逮捕ネタ。22番は彼の容疑者ナンバーで、1週間は拘留期間。
(どっかのWebで読んだのだが、URLを忘れた…)
j-wave朝、bonnie pink版[赤いスイートピー]が掛かる。メロは歌も楽器も松田聖子完全コピー。演奏リズムはskaだが、全体の雰囲気はオリジナルどおり。
ジョン=カビラ曰く。
きっと子供のころ、振り付けまで真似たんでしょうねぇ。それくらい似てます。
たしかに似ている。私はremixもの(本人の歌)かと思ったくらいだ。
ちゃんとした感想禄を書く元気がないので、過去に書いた雑文を掘り起こす。
5月5日のj-wave tokio hot100のゲストにalicia keys。最初に掛かったのは[How Come U Don't Call Me Anymore?]。まさか彼女がPrinceの曲を取り上げるとは… 演奏も歌も原則としてオリジナルに忠実。なんとなく嬉しい。
先週からオンエア解禁らしく、映画spydermanのテーマソングが掛かりまくっている。楽曲はアメリカでのアニメ版spydermanのものらしいが、演奏はAEROSMITH。この数年で一番かっこいいリフかも。単純ながらドライブ感あふれるハードなもの。かなり久々にギターソロもカッコイイ。ほんとにペリーが弾いてるのか?
だが、ボーカルが《てきとー》に聞こえてしまうのが悲しい。オクターブ重ね取りで、下はなぞるだけ、上はシャウトぎみ…いくらシンプルなメロでイジリようがないとはいえ、工夫がなさすぎ。曲がブルースコード進行して、ラストの「look UP! ..... here come the spyderman」
の頭で遊びがあるだけだもの。
こういう方針でやるならば、それこそrage against the machineやNIN、あるいはマリリンマンソンでもいいんだが、そういう若僧に任せればいいのに。あるいはコア系Hipのひととか。
はっぴいえんど[風をあつめて](曲名じゃなかったらゴメン)のevery little thing版がオンエアされている。この演奏を気に入っているわけじゃないが、こういうアイドル系グループのリスナーが細野らの音楽に興味を持ってくれたら嬉しい。
自分の名前と同じ漢字をタイトルにつけている。“意欲作”という触れ込みに恥じない工夫が施されている。(長音を出す際の安定度も、かなり改善されたと思う。昔の宇多田はヘロヘロで、音声補正のあとが聞こえて気持ち悪かった。)
Chaka Khanが非常にかっこよい。[Tell Me Something Good] (feat Rufus)の黒さにおののく。[Night In Tunisia]のjazz fusionとしてのデキの良さに驚く。−−いままで[fell four you]のヒトという認識しかなかったので、勉強しなおさねば。
Commodores [Brick House]のファンキーさにおののく。他の曲はヘンなポップだったりR&Bだったりするのに。なぜだ。
Funkadelic [Maggot Brain](表題曲)をいまさら聞く。Parliamentsは持っているが、ファンカは【one nation under the groove】が性に合わなかったので止めていたのだ。が、このエディ=ヘイゼルのサイケなギターソロはグっときた。アルバム試そう。
10年ぶりくらいにJBを聞いた。[super bad]のファンクネスに痺れる。R&B流れでもなくハードソウルでもない、いまいうfunkとしてのfunkの最初の作品ではないか?(歴史は調べてないが)。[Papas Got a Brand New Bag]とか大好きだが、これはあえて言えばR&B流れだからなぁ。
Johnny Guitar Watson [Play That Funky Music, White Boy]がファンキー。オリジナル(wild cherry)を十分に踏襲しつつも、ホーンセクションの追加と歌唱法の違いで、よりブラック感あふれるグルーヴに。ギターソロも、イントロをwild cherryと同じにしちゃうあたり、かなり小憎らしい!
Redbone [Come And Get Your Love]。初期soulのかわいい佳曲。ところが、Redboneのほかの曲はリズムがモタモタだったりメロが気に入らなかったりデ、性に合わない。残念。
All Saints [Lady Marmalade]。今っぽいリズムトラックと、綺麗なラップを入れた版。軽くて聞きやすい。2001年には映画ムーランルージュ版(クリスティーナアギレラ)のギトギト版を何度も聞かされていたので、この爽やかさがgood。
Destiney's Child [bootylicious]。ああ、これデスチャだったのね。
Micheal Jackson [Smooth Criminal]。これ、中学三年のときに親友にもらった《洋楽おすすめテープ》(恥)に入ってた。当時にディズニーがやった3D MAX映画用に起こした専用曲だったはず。実は、このアレンジすごく好き。シンセごりごりのベースを中心に、、かなり強引にダンサブルにまとめちゃう。そして(サンプリングだと思うが)脈絡無く「ポゥーーー!」
と叫びまくる。この無節操さが愛らしい。
Dr Dre & Snoop Dogg[The Wash]。彼ら主演の(ちうか自作の)映画の主題歌。[smiling faces sometime]をサンプリングor追悼演奏でループし、その上に多数の展開音を載せている。ダークネス抜群。真骨頂。−−このサントラ、この曲以外はダメだった。
Tom Jones [Whats New, Pussycat?]。いいことないかい子猫チャン。Tom Jonesってもともと正統派のイギリス歌手だったのね。恋はメキメキ以降しかしらなかったのでビックリ。余談だが彼のバージョンの[Burning Down the House]はハデで大好き。
Senior Coconut [Trans Europe Express] [showroom dummys]。クラフトワークのラテンカバー。猛烈にチャチャチャ。良い意味で可笑しい。クラフトワークのポコペコ音は、マリンバに良く似合う。
電気グルーヴ[B.B.E.]。Best版のremixとオリジナルを聞き比べる。音的にはremixのボイスエディットが圧倒的にカッコイイが、ネタ(ライム内容)の面白さはオリジナル版のほうがいい。それはともかくとして、このremix版のテクノさはスゴイすごい凄い。感心。
平沢進[世界タービン](サイエンスの幽霊 01)。高校生のときに初めてgetして聞いたときも思ったが、この世界観は圧倒。歌詞がSF、メロのすっ飛びかたがキテレツ、演奏は圧倒的にインダストリアルノイズ、でも全体はポップ。すばらしきテクノの王者だ。
808 State[Pacific State]。90年代に名前だけ知っていたテクノバンド。銘記ドラムマシンのTR-808を冠にしちゃったバンド。聞いて納得。「あー、はいはい、これが808stateなのね!」と。初期ハウス+テクノ。センスは、時代を考えたらかなりハイだと思う。好きとは言わないが、文句は無い。
ともさかりえ[カプチーノ]。かわいい(涙)。なにもかも許す。オープニングのボサノバギター、キャッチでのオルガンの9度攻撃も琴線に触れるが、この曲・このヒトの場合は歌詞だ。「あと少し、私の成長を待って。あなたを夢中にさせたくて もがく私を可愛がってね。」
「もしわがままが過ぎてても、黙って置いて行ったりしないでね。」
。−−ブレーンは椎名林檎。なっとく。
joni michiel [big yellow taxi]。ギターのカッティングとラテンパーカッションを中心にした楽器の少ないセット。サビで「oooooh! pa! pa! pa! pa!」
という超美麗コーラスが割って入るのが鮮烈。−−おおよかった、私ジョニにもちゃんと好きな曲があったよ! まえにジャコパス参加アルバムでコヨーテとか聞いて「性に合わん!」と悩んだとき、自分がよほどセンスがないのかと悲しんだものだ。
この曲は、公的抑圧ライブにおけるテイクのほうが有名で、そちらは8beatで素直にノビノビ弾いている。ところが、この1stのテイクは16beatアレンジ。beatを細かくしたのではなくて、公的抑圧での8分音符の長さがこちらの16分。譜割もぜんぜん違う。
ドラムとベースが非常にズラシの激しい(演奏の難しい)fusionなアレンジ。−−ふだんfusionという単語は悪い含みの文脈で使ってしまいがちだが、ここでは良い意味で。−−ドラムは、ハネ位置もベー位置もハイハットを開くタイミングも、すべてが独自(AメロでもBメロでもCメロでも)。それにベースが絡み付いて、他では聞けないほどスマートなグルーヴの出来上がり。ベースのslapの巧さに心底敬服。舌を巻く、シャッポを脱ぐ。
Aメロの譜割のおしゃれさもすごいが、そのメロの最後のフレーズに対するシンセ低音の付加に痺れる。本メロは中央定位だが、被さる低音メロは左右端に2本入っていて、音場刺激でリスナーを異次元へ引きずり込む。
Bメロでのブロックコード演奏、ルートの進行は単純なC-E♭-F-G(フュージョンにありがち)なのに、不協和音のノセかたがあまりに激しくて、他の追随を許さない感じ。
演奏後半ではホワイトノイズやSEノイズが乱入。音場をより激しくする。Aメロには半音無限降下が絡みつき、さらに異次元感を増す。スゴイすごい凄い!
これが細野のチャンキーミュージックの正しい結実か! YMO 1stの日本版mix(有名なのはアメリカ版mix)を購入して、じっくり聞いてみるべきか。
(先日simoonのオリジナルを何度も何度も聞いたが、これに詰め込まれた音の洪水も凄い。生楽器での演奏テクニックを十分に生かしてシンセやノイズを扱っているからこそ、ここに達するのだろうな。平沢進にも同じことが言える。)
(2001年12月25日 8:45に記載したもの)
j-waveにて、八代亜紀[fly me to the moon]が掛かる。演歌調ではなく、れっきとしたnew soul hip、8/6拍子のswing。クールなドラムとスペイシーなシンセ。分厚いコーラスが独自のテーマを流し、きれいなピアノソロが入る。32小節おきくらいに(つまりごくたまに)八代亜紀がメインテーマを歌う。フェイクの掛け具合がうまい。
単に独自アレンジとして考えても、かなり突出した面白いテイクだ。それをなぜか八代亜紀が歌っている。イベントとしては最高の出来だろう。
昼飯@back in town。今日はカーペンターズ。
イメージでは《キレイなコーラスのポップグループ》で、そのイメージにぴったりの映像のほうが多いのだが、なかには企画モノというか“冗談音楽”(クレイジーキャッツとか)のようなエンターテインメントものもたくさん。鼓笛隊の複雑なリズムにあわせてカレンがスネアドラムを奇怪に連打したり、ステージに4つ並べたれたピアノを移動しながらリチャードが曲芸弾きをしたり。
この曲芸弾きを見ていて、思っていたよりもリチャードがピアノを上手くて驚いた。考えてみれば当然なんだが、しっかりしたクラシック基礎の鍛錬を積んでいるんだな。スケール弾きが速い速い。右手で3オクターブくらいの上下移動、左手でラグタイムのブロックを、ことなさげにこなしていた。−−プロならできて当然か。
別ムービーでは、レスポール氏と女性ボーカルが演奏する楽曲のバックコーラスをやっていた。−−動いているレスポール氏(ギターのレスポールの発案者)を見たのは初めてだ。もちろん、彼も初期レスポールを弾いていた。ちょっと感動。
曲は。あくまで趣味だが。[ticket to ride]はメロ(ビートルズ)もハーモニー(独自)も大好き。[close to you] 、オーラスのコーラスワークがすばらしすぎて、ここだけ抜き出してループにしたい(他の部分はいらない)。[yeasterday once more] はどっちでもいい。ああ、[top of the world]なんて曲もあったねえ…あれは嫌い。
(追記)
west coast soundに詳しいWebでのレビューによると、1st albumは実験的だったそうな。シングル[ticket to ride]が売れたことで、徹底して商業路線をキープするようになった。
見事なプロ意識だ。素晴らしい。アーティストが自分のやりたいことだけやっていては、商売なんか成り立たない。お客さまあってのものだね。そこを勘違いしてはイカンのだ。
先日、東京スカパラダイスオーケストラ版simoonを聞いたのだが、Aメロ2小節目のコードが1小節目と同じになっている。それは演奏者/アレンジャーの自由なのだが、私としては引っかかった。オリジナル(細野晴臣/YMO)のキモは、あのメロなのにあそこでコード展開する点にあると思っていたからだ。
そこで楽器を取り出しコード確認…してみたところ、どのコードに展開すればよいのか5分わからなかった。オリジナルの演奏がいま手元にないので、記憶だけで再現しなければならない。手間取った。2小節目はクリアしたものの、そのあとの6小節目も難しい。Bメロの冒頭1〜2も難しい。
…というわけで、解析してみた。
simoonをご存知ないかたのために。私がちょいと打ち込んだ版を。MIDI/XG データで。
simoonは、異国風なメロを持つ、ほんわりした曲。YMOテイクでは、Aメロ2小節目でメロディを半音下げベンディングしたり、2ループ目で高音発信音を被せたりと、シンセの音色自体が実に気持ちよい。
これは、QY-70でチョイと打ち込んだもの。Windows付属ソフトMIDIで再生しても、メロはちゃんと判別できます。
トニックはC。メロデイはすべて白鍵のみ。
(3月11日追記:YMO版入手。…この解析間違っていた。Aメロ1小節目、d音入っている。恐ろしい。C6M79だ。6小節目はe音入ってD79。8小節目はEm7-GdimあるいはG6-Gdimだ。音としてeからe♭へ。)
(3月11日追記:やっぱ1小節目2小節目が間違っている(涙)。)
YMO版がトニック系に始まりドミナントで終わっているので、それを手がかりに解析。
出だしからgabcすべてを使われている。これに対応する協和音はない。安定音がaなのでその周りの協和音を検討するが、解決がない。結局はトニックのC系。b音(M7)を経過音とみなし、メインコードはC6(C+a音)。
5度(g)6度(a)をぶつけるなんで1小節目でやることではないのだが、安定して聞こえるのだから不思議だ。
メロがga--と来ているのに、Am系では解決しない。だが、YMO版はここでマイナー調を取っている。dimかaug系で探してみると、Gdim(e♭採用)がマッチする。これに、メロ安定音であるa音を足す(add9)。
メロはa..c----なのでAmかFが定番だが、次の7小節目が明らかにサブドミナント系(F6あるいはDm7)であり、5-6-7のうちの6が移行テンションになっているので、ここはD7なのだろう。
…別テンションとしてD#augでもメロは通るが、YMO版の印象に近いのはD7だと思う。
明らかにDm7-D7-GあるいはF6-D7-G。冒頭安定音がaなので、逆にテンションを上げるために私はF6を採用。
Aメロの展開と、オーラスがトニックに戻ることから、かなり必然的に決定される。
g..g ..f. /e..e ..d。正直わからん…手がかりがなさ過ぎる。
楽曲としてはサブドミナントからの展開しかありえないのでFM7で、gを足す(add9)。だが、どうやって3小節目のAmに戻ればいいんだ? とりあえずFM7add9-FmM7add9という苦しい展開に。
(私の採用した演奏では、1小節目をonAとした。そのほうがオリジナルの響きに近い。ならばAm系のコードで表記してもよいはずだが、書くとAm7add6というヘンなものになってしまう。どちらにせよ、コードネーム記述体系が想定していない和音だ。−−しょせんは不協和音をあらわすには限度のある理論なのだな。)
Amからルートが半音ずつ降りていく。定番。
これも定番。Dm-G-Am、F-Fm-Cで、それぞれに装飾を入れた状態。
メロがc..c ..a. c!なのにAmでないとは、正直トリッキー。C6を支えると、このメロでも違和感なくC系に聞こえるのだから、ほんと不思議だ。
(余談)
この「異国風」メロディで、ある人は中近東と感じるだろう。だが実際には、どの地方の民族音楽も、このsimoonっぽいものではない。にもかかわらず「そう」感じるのは、この楽曲が《自分たちが知らないもの》を目指して注意深く組みあがられており、かつ《自分の知らない異国》の代表が中近東だからだろう。
−−ヨーロッパ人が中近東を思ってcaravanを弾くのと同じ。かの有名な中国フレーズeeee d.d. b.b. d---だって、実はヨーロッパ作曲だ(映画音楽のはず)。さらに言えば、モンゴルを思ってジンギスカンを弾いちゃうのと同じ(?)。
1998年〜99年録音
日本のバッハ演奏の雄、BJC。定期的にカンタータCDを発行。全曲集を目指す。
メンバーは固定でなく、CDごとに違う。[もののけ姫]で有名になった米良さんもBJC所属。la petite bandeのコンサートマスターを勤めるviolinist寺門戸了氏も。−−リーダー鈴木正明氏(漢字自信なし)の白髪・髭のお姿がなかなか凛々しい。
とりあえず、寺門戸氏と鈴木みどり氏が参加するディスクの中から、vol.11を選択。leipzig期のカンタータ集第4弾。BWV136、138、95、46。どれもノーマル4声+オケ。ただし、アルト(女声)の変わりにカウンターテナー(男声)を擁している。
これが、困ったことに趣味に合わない。しかし、その原因がわからない。演奏の質が悪いわけじゃない。楽曲が悪いわけじゃない。おかしい。あえていえば、次の2点か。
コラールが、ソロイスト4人の合唱ではなくて、各パート複数人の合唱になっている。結果、メロディーがぼやけすぎ。
空気感たっぷりすぎ、というか。個々の楽器の分離が悪い気がするのと、どうしても芯が細い気がする。
−−2つをまとめると、「音像がぼやけすぎ」ということか。
10度くらい聴いたのだが、どうしても評価が好転しなかった。くやしい。このディスクが悪いとは思えないので、私の敗北だ。
珍しく中野坂上で昼飯になったので、チェーンのとんかつ屋に入った。
この店内のBGMが非常に優れもの。よくある「スタジオミュージシャンに依頼して、店内放送用に有名曲を軽音楽にリアレンジしたもの」なのだが、アレンジの質が異様に高いのだ。
テーマは童謡。[隅田川(春のうららの)][チューリップ(咲いた咲いた)][春の小川][おもちゃのチャチャチャ][ドレミの歌][どうしてお腹が減るのかな]など、誰でも知っているメロディを、サンバやサルサといったラテン風の典型バッキング演奏で支える。それだけならば普通だが、(1)メロに対するリズムの割りなおし、(2)コード展開の割りなおし、場合によっては(3)メロディの部分変更を大胆に惜しみなく施している。
(たとえば。ドレミの歌の中間部分で3拍子で[cee egg | dff abb]となる部分。これをサルサ16beatで[ce.e --eg .g-- ..c. | df.f ---. a--b --b-]。)
この手のものではイントロやブリッジに自作メロでキャッチーな部分を入れるのが定石だが、このBGMではその自作フレーズも非常によい出来て、場合によっては変拍子だったり転調したりと鋭意的。それでも、客が引いたり混乱したりしないラインはキープしている。見事だ。
音自体は打ち込み主体で、チープ。それでも、音色変化や抑揚はある程度アピールしているし、なによりもアレンジがよいので、聞いていて気持ちのよい状態になっている。
メロディを追えば童謡だと判別できるが、パッと流して聞いただけではオリジナルのフュージョンにしか聞こえない。鋭角的な仕掛けを用意していながら、BGMであることから外れない。−−たいへん見事なリアレンジだ。−−もっとも、[おもちゃのチャチャチャ]くらいに主張の激しい元メロディだと、ほとんどイジれないようだった。
この業務用音楽をCDで買えるならば、ぜひ欲しい。すごく勉強になると思う。≪プロの(職業)ミュージシャンである≫とは、けして[自分の思いを作曲や演奏にひそめる][自分だけの音を出す]だけではない。