【自己顕示録】


1999年11月


4日〜5日

/日光録/

11月4日〜5日、日光に一泊旅行w/ ERKさん。実は3日に熱を出して寝込んでいたんだが、無理やり直しての旅程であった。北千住より東武鉄道「きぬ」にて2時間。そのころの東京の気温は、平均して「最低10度、最高18度」。いっぽうの栃木県日光は「最低6度、最高16度」。朝晩の冷え込みが厳しかった…

*3日、着*

3日、13時ごろ東武日光駅に着。ここから歩いて日光東照宮へ向かう。−−途中で金谷ホテルのカフェーで一服した。けっこうな値段を取られたが、味はごく普通の喫茶店。ただし、テーブルなどの調度がとてもよい。

普段だと、このあたりから『神橋』(しんきょう)にて東照宮域に入る。しかし、僕が行った時期は神橋が補修工事中のため、ふつーの横断歩道で渡らなければいけなかった。ちょっと残念。

表参道を散歩。回りには、直径10cmを超す太いスギが無数にある。−−日光杉といえば有名なんだそうな。僕は林学出身であるにも関わらず、知らなかった。−−木を眺めながらのんびり歩いていたら、対向を行く近所の小学生に「こんにちは」された。

*輪王寺逍遥園*

なんだかんだやっているうちに時間が経ち、輪王寺(りんのうじ)にたどりついたのは15:00。普通ならまだ観光時間なんだが、なんと東照宮回りはみな15:45には閉まってしまう。この状態で拝観券を買ってはもったいないので、今日は別のものを見ることにした。

輪王寺付属の『逍遥園』(しょうようえん)が有料解放になっていたので、そこに行く。中央に池を置いた回式庭園だ。ちょうど時期だけあって、紅葉の照り映えが素晴らしくよい。池への木々の映り込みもさることながら、葉を通して仰ぎ見る空がきれいだった。このときばかりはカメラを持たない自分を悔やんだ。

余談:時間が終わりがけだからか、客は僕らを除いては一組しかいなかった。他の一組とは、おじいさんとお孫さん(2歳くらい??)。よちよち歩きの幼児をあやす老人。やたら平和な光景に心和んだ。)

池では、鯉がごく短い距離をなんどもなんどもグルグル廻って踊っていた。腹を上にして泳ぎ、底の石に背をこすり付けているように見えた。かゆいのかな?

*宝物殿*

逍遥園とセットになっていたので、宝物殿にも入る(閉館15分前)。あるもの皆が素晴らしい。たった15分しか見られないことを悔やんだ。

入り口付近には、鬼棒持 香炉・灯篭がある。鬼の力強さ(肉付きや表情の良さ)に圧倒される。色も黒と金のみで、かなり引き締まっている。

法具もきれい。紫の布に置かれた黒水晶やら、錫杖やら。密教系の道具を普段見慣れないせいもあるだろうか、とても新鮮に映った。能に使うような鬼面もあった。木彫り。「うまれかわり菩薩」や明王の絵が(当然ながら)多数存在する。

余談: 「全然違う風貌なのに、なぜこれが不動明王なの?」とERKさんに聞くと、答えを教えてくれた。明王ごとに「ポーズ」が決まっていて、そのポーズ(つーか印ですな)を切っていればオッケーなんだそうな。また、持ち物や衣装(不動明王なら剣と数珠など)でも判別できるそうな。) )

*@バス*

宿泊ペンションへの移動はバスを利用。バスは学生さんで込んでいた。

席が足りてないので、女学生がいらついてブツブツ言っている。

「観光客来たら、わたしら座れないじゃん」

申し訳ないが、それは観光地に生まれたものの宿命として、あきらめていただきたい。

余談だが、おんなのこのほとんどが、 制服ジャケット制服の前(袷)を立てて、大きなピンで留めていた。 この地では、それが流行のパンクなんだろうか。

*夕食*

ペンション(ガスポトフ)での夕食。宿泊客4組がひとつの食堂に集められ、出てくるコース料理を食べる。といっても、テーブルは別々で、とくに相互会話はなし。

ごまのアイスが美味しかった。あと、湯葉ね。京都の湯葉とはかなり違うものだった。お刺し身 湯葉が美味しい。

*4日、大猷院(だいゆういん)*

11:00、大猷院に着。中に入る前から、壁飾りの朱雀などの美しさに打たれる。

なかに入り、最初の「二天門(にてんもん)」にてあまりに強い感銘を受けたので、その場で20分ほどたたずんでしまった。黒塗り(漆?)のうえに金で紋様の書かれた柱。

門を守る廣目天と持国天の力強さに感動。僕はこの2対のうちの赤いほう(たぶん持国天)に惚れきってしまった。天邪鬼を踏みつけながら、回りに強い眼光を飛ばす。その装束の波打ち加減から目が離せない。

欄干の細かい彫り物も、柱を守る朱雀・象・竜・獏といった動物も、みな細工が良くて見惚れるばかり。そういえば、僕は「想像の象」の実物を見たのは、初めてだ。

余談:ついでに、ERKさんに「上り竜」と「下り竜」の見分けかたを教わった。玉を盛っているのが上り竜なんだそうな。)

さらに進むと、そこは拝殿。家光が本尊なんだそうな。軍人さんと思しき客が、僧に説明を受けていた。

軍人「ここは家光さんじゃときいたがね、本尊はなぜ不動明王なんだい?」 僧「不動明王さんは、いろんなところにおるんですよ」

僧は「商売繁盛」と称して、不動明王が持つ剣のレプリカを販売していた。5000円也。

*神厩(しんきゅう)*

13:00、東照宮本体に移動。金曜日だというのに怒涛の人出。土日はもっと凄いのか????

入ってすぐには、神に仕える白馬(光波号くん)のいる厩舎がある。動物愛護協会への配慮か、「光波号は、10:00から14:00まで、神厩にてお勤めを果たします。そのあとは、近代的な厩舎にて快適に過ごしています。」という立て札があった^-^

この神厩には、かの「見ざる・聞かざる・いわざる」がある。ちなみに、現場に着くまで、その事実を私は知らなかった。しかも、実際にはすんごくたくさんある猿のなかの3対。これだけがなぜか有名になっちゃったんだそうな。

*陽明門(ようめいもん)*

ゴージャスの粋を集めた門といわれていたので、「いかほどのもんじゃい」と思っていったんだが、実際に見たらけっきょく圧倒されてしまった。ある意味下品なわけだが、それがまたパワフルで良い。

朱・金・緑にあでやかに塗り分けられた門のいたるところに彫り物がある。門を守るのは竜頭。中央の門だけで、9個*2段もある。その下段には獅子が9個。門のなかには、白い木彫りの龍(こいつは全身)がいる。

陽明門の回りには鐘楼があるんだが、これまた龍だらけ。個人的にはこちらのほうがグっときた。龍馬・麒麟・鳥龍の3種類がいるんだそうな。ひづめ系、つの系、はね系ね。龍がこんなに細かく分類されているとは知らんかった。−−相変わらずERKさんはこのへんを熟知している。いつどこで覚えるんだろう??

追記:あと1種類、魚系の竜もおるそうな。日光にはいなかったけど。)

門を守護するのは、風神雷神などではなく、実在の武神2人。名前は忘れてしまったが、徳川家の家臣だそうな。

*お墓*

奥の「眠り猫」を見る。意外につまらん。これは宣伝が勝ちすぎていた。−−僕はこれを見たくて(他のものについては何もしらないまま)日光に来たんだが…

その門を越え、ながーい階段を上ると、家康のお墓(稜)に辿り着く。その門は、ツノつきの狛犬が守っていた。裏は鶴亀が保守している。お墓自体は、大きな銅鐸のようなもの。この中に神体が納められている。寒さと空気の感じで、けっこうムードがあった。

神体の脇に、「叶え杉」という杉がある。一部が落雷かなにかで祠状になっており、この穴に向かって願い事を叫べば、かならず叶う…らしい。それはともかく、みなが賽銭を杉肌に刺しており、「うろ」になっている。傍目にはかなりキモチワルイ。キノコが無分別に生えちゃったみたいだ。これは悲しい。

*本堂*

本殿本堂は、白い竜が守っている。これも珍しく体付きだ。「竹林の七賢人」や「うさぎ」など、他では見られないモチーフの絵も飾られていた(より中国風??)。

中に入ると、天井に無数の竜の絵が。ふすまは麒麟と朱雀。その奥の祈願所には鳳凰と獏がいた。ぜんぶ見事なんで、すでに一つ一つを記憶に残そうとするのを諦めてしまった。

ここでは本来は有料で説明を聞くらしいんだが、修学旅行の小学生にまざって、いっしょに説明を聞いてしまった。

*薬師堂 鳴竜*

薬師堂の天井には、大きな竜が描かれている。その目のあたりで拍子木を叩くと、ちょうどスィートスポットになっているらしく、反響音が「こいぃぃぃぃん」とお堂のなかを殷殷と響き渡る。これをして「鳴竜」と呼ばれている。

*輪王寺*

最後に、15:00になって輪王寺に到着。数体の明王に見守られながら階段を降り、本尊(大仏さん)のいるところまで直接足を運べる。ここの宗派の特徴らしいんだが、人佛同列とかいって、日本では数少ないスタイルだ。目の前には巨大な明王3体。お香が深々と焚かれていて、かなり異世界ムード漂う。なんか「〆」にふさわしい感じで、嬉しい。

だが、中心を通り過ぎると、こんどは「生まれかわり菩薩」が出迎える。自分の干支の菩薩に賽銭を託すのじゃー^-^ 

その先には土産物屋が。明王の印の説明や、菩薩の小さなお守りが。しかし、それらを押しのけてひときわ目立つのが、「絵説心経」。江戸の民間で生まれたものとのことで、「はんにゃーはらみた」が全部絵で書いてある。「波羅」は「お腹」、「摩訶」は「逆さのお釜」、「ぎゃーてー」は「ぎゃ!と驚く顔+手」と、すんげーシュール。500円だったので購入してしまった。僕も功徳があがるだろうか。

*みやげもの*

日光駅回りでみやげものを漁る。羊羹と湯葉以外にはたいした名物があるわけではないらしく(店のオバチャンも認めた)、けっこう困る。悩んだ結果、湯葉入りの饅頭とケーキを購入。単純だが美味しい。が、湯葉が生きているかどうかは突っ込んではいけない。

*達成できなかったもの*

うーむ。2000年4月21日から11月30日までは、特別に「大猷院 廟奥の院」が公開されるらしい。また行かねば。





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